2020/06/19

わたしは犬さん


わたしは犬さん  吉祥寺のしいちゃん


今の若い人には考えられない事かもしれませんが昭和30年代頃までは 

犬は放し飼いだったのです。

シェパードなどの大型犬はつながれていました が 

首輪をしている飼い犬が近所やそこいらを歩き回っていました。

想像できないかもしれませんが~ そうですね、 

今 街に放し飼いの猫がいるように 街を犬が歩いていた といえばわかるでしょうか?

なかには 野良猫ならぬ 野良犬もいました。でもたいていは 飼い犬でした。

飼い犬といっても ごはんの時間になるとちゃんと家に帰っていくのです

家の中には入りません。外の犬小屋がねるところです。ちなみに ごはんは 

ドッグフードなんてなくて 残り物のご飯に 味噌汁をぶっかけたものが定番でした。

猫には これにオカカを加えたものが 上等ごはんでした。

当時はやったTVに「名犬ラッシー」という賢いコリー犬が主役のアメリカの子供番組が

ありました。子供部屋で ラッシーが男の子のベッドで寝ることにはげしく衝撃を受けた

ものです。犬なのに家の中にはいる!?!? 

犬なのになんとベッドで人間と一緒にねる!?!?


さて そんな 犬が街を歩いていたころのそれ程遠くない昔の話です。

しいちゃんは「変わっている子」といわれていて 友達がひとりもいませんでした。

 
正確にいうと 「人間のお友達はひとりもいません」。 

でも「犬の仲良しお友達」はいました。

だから さびしい なんて思ったことは一度もありません。

毎日 大好きな犬友達と遊びまわっていました。


しいちゃんの家の スピッツと柴犬の雑種 丸い目の まる

牛乳屋さんのかわいいめすの メリーちゃん、 

あと あか と 

ジロー

5人そろって(正確には4匹とひとり)輪になって相談します。

もちろんしいちゃんもお座りして ワンワン語で話します。

「今日は どこにいく?」

「井之頭公園にいこうよ ワン」

「決まりだ いいね ワンワン」

相談がまとまると いざ出発!

角を曲がって 垣根を越えて 他人の家の庭に入って 物置の裏を通り 

家と家の隙間を抜け

また他所の 庭に入り なっているビワの実をちょっといただき 

5人は一緒に進んでいきます。

もちろん しいちゃんも よつんばいで歩きます。

井之頭公園ではおもいっきり追いかけっこして遊びました。

帰りは違う道を通って帰ります。犬ですから よその家の庭も平気です。

道だけが道ではありません 。

ベンチの下をくぐって  狭いところだって通れちゃいます。犬ですから。



「そろそろ帰って来る頃だわね」

しいちゃんのお母さんが待っていると、いけがきのしたから一人ずつ あらわれました

最初に現れたのはジローが

次があかが

次がまるで 

メリーが 

最後にあらわれたのは 一番年下でちびのいしいちゃん  

「おかえりなさーい しいちゃん」

「ワン!」



2020/06/10


秘密の・お腹こわし  熱田のちかちゃん


ちかちゃんは3人兄弟の末っ子です。
家は代々材木屋をやっていました。

ですので 大家族で育ちました。しゃきしゃきの材木屋の主のおじいさんと昔気質のおばあさん
そしてお父さんとしっかりもののおかあさん それに お姉ちゃんお兄ちゃんの
全部で七人家族でした。

お姉ちゃんは初めての子供でしたのでみんなの注目を一身に集めてましたが
結構のんびり屋でした。

みんな一緒に夜は7時になると食卓を囲みます。

今はバラバラな家も多いですが 当時はきっかり 朝は7

お昼は12時 夕食は7時とどの家も決まっいていて家族全員そろって

食事をするのは 当たり前すぎるゆるぎないものでした。


 
 すえっこのちかちゃんは 大人たちに囲まれて育ったのんびり屋のお姉ちゃんと
お兄ちゃんを見ているので どうしたら叱られないか 小さいながらによく観察するのが 身についています。

今日はちかちゃんの大好物の とんかつです。のろのろ食べて おそいんだからと怒られている

お姉ちゃん お兄ちゃんをしり目に 一気に自分の分と お姉ちゃんの食べないのを
たいらげてしまいました。

「まっ ちか!そんなに食べて」
「ほれ お姉ちゃんが食べないから ちかが全部たべてしまったじゃないか」
「ちか!いい加減にしなさい! お腹こわすよ」
「食べすぎなんだから ちかは」

お母さんとおばあさん おじいさんとお父さんにもにさんざん いわれます

「平気だもん お腹なんか 壊さないも~ン」

大好きなとんかつ お姉ちゃんの分も食べてしまって さすがにちいさいちかちゃんは
お腹が くるしくなりました。

よつんばいになって 重いお腹を下にして歩きますと
名案が 浮かんだのです。

「そうだ!いいこと考えた」

玄関の汚い汚れた 床に 手のひらを こすりつけて
なすりつけました。

そして~~

その汚い掌を

べろ~~り

と舐めました

効いてきました。

お腹がゴロゴロしてきて

「うんち~~っ」

と駆け込みました

そしてすっきり!

これであしたも いっぱいご飯食べて 大きくなるぞ!!

イェ~~イ 

でもこれは 秘密です。







2020/06/01

ツノが生えるぞ


角がはえるぞ

三重県度会郡(わたらい)のきょうこちゃん


 きょうこちゃんはお母さんが亡くなってから おばあちゃんと叔父さんと一緒に田舎で暮らすようになりました。明治時代に建てられた古い家で 江戸時代から大正時代頃までは荷物を運ぶあきんどが泊まって、荷車をひく牛や馬を取り替える馬喰(ばくろう)宿だったそうです。


お風呂は五右衛門ぶろです。
五右衛門風呂ってご存じですか?

大きな 鉄でできた黒いお釜で底からグラグラ火をたくので 鉄ですから熱くなるので木

のすのこをお風呂の底に敷いてその上に乗るのです。やけどはしたことはありません。

風呂の窓からは夜は 真っ黒い山しか見えません。


おばあちゃんは 明治の人です。手こねずしを作るのがとても上手で京子ちゃんのため

に おやつに お芋をふかしてくれたり 焼きおにぎりも作ってくれました。

田舎なので周りのこたちは みんなモンペをはいていました。近くにはお店は一軒だけあ

ってキャラメルと 雑誌と 砂糖とかカレー粉とか よろずやでした。お玉とか おなべ

なんかもおいてありました。


おばあちゃんの母親、つまりひいおばあちゃんも生きていて近所に住んでいました。ひい

おばあちゃんは江戸時代の生まれです。


小学校へ入ったきょうこちゃんは 給食にびっくりしてしまいました。

家では 食べたことが ないものが 出てきたのです。

牛乳は一度も飲んだことがありません。

「牛(ぎゅう)の乳(ちち)を飲むと 角がはえるぞ」

お肉も一度も食べたことはありません

「豚肉を食べると 豚鼻になるぞ!」


「鶏肉を食べると とさかがはえてくるぞ!」



ひいおばあちゃんからずっと言いきかされてきました。

だから家ではお魚しか食べたことはありません。誰もオキテ破りはしなかったのです。


「給食は残さないで食べましょう」

と先生に言われましたが

きょうこちゃんは決して お肉を食べませんでした。


田舎では昭和になっても昔から言い伝えられた〝たたり〟が信じられていたのです。

暴走する遊覧船

暴走する遊覧船 秋田のしほこちゃんの話です。 今回は しほこちゃんこと はたけやま しほこさんがイラストと文章を、私ノコがアニメでコラボしました。のりたくなる楽しい箱ブランコ「遊覧船」をお楽しみください。           ♡ ♡ ♡ 世の中には今では無くなってしまった 危険な...