角がはえるぞ
三重県度会郡(わたらい)のきょうこちゃん
きょうこちゃんはお母さんが亡くなってから おばあちゃんと叔父さんと一緒に田舎で暮らすようになりました。 明治時代に建てられた古い家で 江戸時代から大正時代頃までは荷物を運ぶあきんどが泊まって、 荷車をひく牛や馬を取り替える馬喰(ばくろう) 宿だったそうです。
お風呂は五右衛門ぶろです。
五右衛門風呂ってご存じですか?
大きな 鉄でできた黒いお釜で底からグラグラ火をたくので 鉄ですから熱くなるので木
のすのこをお風呂の底に敷いてその上に 乗るのです。やけどはしたことはありません。 お
風呂の窓からは夜は 真っ黒い山しか見えません。
おばあちゃんは 明治の人です。手こねずしを作るのがとても上手で京子ちゃんのため
に おやつに お芋をふかしてくれたり 焼きおにぎりも作ってくれました。
田舎なので周りのこたちは みんなモンペをはいていました。近くにはお店は一軒だけあ
ってキャラメルと 雑誌と 砂糖とかカレー粉とか よろずやでした。お玉とか おなべ
なんかもおいてありました。
おばあちゃんの母親、 つまりひいおばあちゃんも生きていて近所に住んでいました。 ひい
おばあちゃんは江戸時代の生まれです。
小学校へ入ったきょうこちゃんは 給食にびっくりしてしまいました。
家では 食べたことが ないものが 出てきたのです。
牛乳は一度も飲んだことがありません。
「牛(ぎゅう)の乳(ちち)を飲むと 角がはえるぞ」
お肉も一度も食べたことはありません
「豚肉を食べると 豚鼻になるぞ!」
「鶏肉を食べると とさかがはえてくるぞ!」
ひいおばあちゃんからずっと言いきかされてきました。
だから家ではお魚しか食べたことはありません。 誰もオキテ破りはしなかったのです。
「給食は残さないで食べましょう」
と先生に言われましたが
きょうこちゃんは決して お肉を食べませんでした。
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