暴走する遊覧船
今回は しほこちゃんこと はたけやま しほこさんがイラストと文章を、私ノコがアニメでコラボしました。のりたくなる楽しい箱ブランコ「遊覧船」をお楽しみください。
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世の中には今では無くなってしまった危険な遊具が数多く存在しますが私が小さい頃夢中になって遊んだ
遊具もその一つでした。
子供達の間では"遊覧船"と呼ばれていました。
大勢で乗れる細長い箱型のブランコです。
私のふる里東北の小さな村での話。
私が、通っていた小学校は家から
20分程歩いた坂の上にありました。
朝早く年上のお姉ちゃんたちと一緒に小学校に着くとランドセルを教室に置き、急いで校庭の傍にある遊覧船まで走りました。
私はずいぶん早く学校に行っていたので余裕で乗れたのですが遊覧船のことを考えるとワクワクして走らずにはいられませんでした。
遊覧船にはたいてい両端に大きい子が陣取り、他の子は押し合いへし合い中に乗りました。
ギュウギュウになった遊覧船はその重さもなんのその、キーキーと軋みながら大きく右へ左へと揺れました❗️
その軋む音と皆んなの歓声で
興奮状態になり、ブランコは更に激しく弧を描き揺れました。
我ながらいつも壊れて分解しそうと思い、大人がこの状態を見たら絶対に叱られると思いドキドキしました。
今思うとこの状態は小さな田舎町の
ある出来事と重なります。
それは年に一度夏にある近くの町のお祭りです。
おどろおどろしい見世物小屋、
金魚すくいに彩とりどりの夜店や
屋台
夜には盆踊りもありました。
お祭りの日には周辺の村から大勢の人が町にくりだしました。
交通機関はもっぱらバスです。
いつもなら、まばらにしか乗客のいないバスはお祭りの日だけはギュウギュウ詰めでした。
ドアは開いたままで車掌はバスの
乗り口にある登り棒に両手で掴まりお尻を外に突き出し乗っていました!
おまけに道はまだ舗装されていないボコボコの田舎道です。
我らが遊覧船はまさにその状態と
そっくりです。
一体感とワクワクが溢れて最高の遊びでした。
今ではあの小学校も新しい場所に
移り名前も変わってしまいました。
けれどもあの遊覧船のことは今でも私の思い出の中でひときわ輝きを放ち残っています。あのキーキーと軋む音とともに
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読者の方に 鹿児島の方も 岡山でも箱ブランコで遊んだことがあったという話を聞きました。秋田だけでなく全国にあったようですね。いまは無いでしょうが。